院長のワンポイントアドバイス

乾癬ワンポイントアドバイス㉘

70歳代男性で、40年以上皮疹が全身に斑状に分布している患者さんがおられました。これまでいろんな医療機関を受診されてきており、それこそ大学病院から市民病院、地域の数百床のベッド数を有する大規模病院、個人のクリニックなど、乾癬では病歴が長期にわたることが多いためこのような方は珍しくありません。

過去の治療歴をお聞きしていると、あまりにも多岐にわたる治療方法を短期間に変えてきたとのことで覚えていないと言われます。ただ前医については、紹介状を持参されており治療内容は明らかでした。外用と紫外線治療を併用されていたようで、当クリニックにおいても同様の方針でいきましょうと言うことになりました。紫外線照射機器は病院で種類が異なることが多く、紹介状にエネルギー量が書かれていることも多いのですが、使用機器が異なれば光強度やランプから体までの距離が異なり皮膚への影響も違ってきます。このため、当クリニックでは初めて紫外線治療を受ける患者さんと同じ条件で開始することにしています。副作用を避けるため、数回は効果が乏しい事もありますが患者さんにはその旨を説明して理解して頂いております。

この患者さんも同様で最初はなかなか軽快傾向が見られませんでしたが、やがて皮疹面積が減少し始め、胸をなでおろしていました。ところがしばらくすると月に一度ほど日焼け様の紅斑が強く見られるようになりました。当クリニックではその頃週に一度の照射を行っておりエネルギー量も一定にしていたので、毎回紅斑が出てもおかしくない状況でしたから何とも不思議で、患者さんに外で日光に長時間当たる等の心当たりがないか尋ねました。すると、前医に月に一度現在の治療の進み具合を診てもらう為受診し、紫外線照射も受けているとの事でした。前医による紫外線照射が強すぎた影響だったのです。早速前医に手紙を書き、紫外線照射は当クリニックだけにして頂くように申し上げました。

患者さんには、現在かかっている主治医に包み隠さず話して頂き、医者側も対話を欠かさず、このようなトラブルを未然に防ぐ必要があると実感した一例です。

関西乾癬
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