院長のワンポイントアドバイス

乾癬ワンポイントアドバイス㉗

50歳代男性で、20年近く皮疹が全身に散在している患者さんのお話です。一見強面ですが、医師の言うことをよく聞いてくれる真面目な方です。ただ一つだけ譲れないところがあり、ステロイドは絶対に使いたくないと言われています。

ステロイド拒否は、アトピー性皮膚炎の患者さんではよくあることなのですが、乾癬患者さんでは意外に見かけることが少ないです。

最近出てきた配合外用剤やシャンプー製剤には、多くがステロイドを含んでいます。開業医ではステロイドの使用を拒否されますと治療手段がかなり限定されてきます。

患者さんと話し合ってビタミンD外用剤とナローバンドUVB紫外線の全身照射でしばらく様子を見ることにしました。几帳面な方で週に一度はきちんと通院されて外用剤も適量使われていました。しかし1か月、2か月、さらに3か月過ぎても思うような効果は出てきませんでした。医者の私の方がしびれを切らして「そろそろ少しだけでもステロイドを使ってみませんか?」と説得しても、「もう少しこのまま様子を見てみます。」と言われるばかりです。6か月を過ぎる頃、病気の方が根負けしたのか徐々に皮疹が消退し始め1年後には500円玉以下の皮疹が数か所残るのみになりました。患者さんと話し合い、全身照射から皮疹の残っている部分だけに紫外線を当てるエキシマランプのターゲット照射に切り替えてみたのですが、当ててない部位に小さな皮疹を再発することが何度かあり、患者さんの希望で全身照射に戻して照射頻度を2~3週間に一度で行うことにしました。今では数か月に一度来院されて照射するだけですが、皮疹は出現しても米粒大のものが2~3か所あるかないかです。紫外線治療の予防効果ははっきりしませんが、明らかな副作用が無ければ早急に中断しなくてもいいのかなと思っています。

さらにステロイド外用剤からビタミンD外用剤へ切り替える時に皮疹の増悪が見られることがよくあるので、最初からビタミンD外用剤のみであれば後々のコントロールがこの方のように良好なパターンも数例経験しており、最初からステロイド無しの治療も選択肢の一つと考えています。

関西乾癬
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