院長のワンポイントアドバイス

乾癬ワンポイントアドバイス⑱

今回は内服薬のシクロスポリンについてお話しします。

25年近く前から使われている薬ですが、免疫抑制剤であり乾癬以外にもいろいろな疾患で使われています。皮膚科領域ではアトピー性皮膚炎にも適応があります。添付文書には尋常性乾癬では、「皮疹が全身の30%以上に及ぶものあるいは難治性の場合」と但し書きが加えられており、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、関節症性乾癬にも適応があります。しかし免疫を抑制するだけあって、多くの副作用もあります。特に注意が必要なのは、高血圧、肝臓・腎臓の機能障害で、患者さんには来院ごとの血圧測定、数か月に一度の血液検査を行っています。外用剤との併用は問題ありませんが、紫外線治療との併用は、皮膚悪性腫瘍の発生頻度が高まる可能性もあり、避けるようにと言われています。前回述べたチガソンが催奇形性の問題から高齢者向きと説明しましたが、シクロスポリンはその作用から免疫機能を抑えたり、また高血圧になりやすく、内臓機能の弱っている高齢者には使用を避けるべきであり、むしろ若い人向けの治療法と言えます。さらに光線療法やチガソン内服と比べますと効果の発現が速く、即効性があります。ですから、何らかのイベントを控えて早期の効果を期待している人には、投与を試みるべきかと思います。

飲み方としては、一日二回に分けて内服することが、添付書類に明記されていますが、最近の治療データを見ますと血中濃度を一度に上げる方が、治療効果が得やすいことが分かっており、私は一日分を朝食前の空腹時に一度内服することを勧めています。空腹時の方が吸収されやすく血液への移行もスムーズに行われるからです。しかし薬剤の血中濃度が高すぎると副作用が出やすく肝臓や腎臓の負担も大きくなると考えられるので、当クリニックでは数か月に一度は来院の12時間前に内服して頂き、来院時に内服12時間後の血中濃度を採血して調べることにしています。その数値をチェックしながら、体重当たり2~5mg/kgの用量を症状に合わせて投与しています。

副作用の多い薬剤なので、主治医とよく相談することが大切です。

関西乾癬
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