院長のワンポイントアドバイス

乾癬ワンポイントアドバイス㉚

70歳代女性で、20年以上前から皮疹が全身に出現・消退を繰り返しているという患者さんが来られました。受診時には頭部と下腿部にわずかな皮疹が見られるのみで、極めて軽症の範囲と考えましたが、患者さんにとってはそうではありませんでした。

乾癬の皮疹以外の症状を次々と訴えられます。

最近じんましんが出てくるようになりました、と写真に撮った記録を提示され、確かにじんましんの皮膚症状である膨疹と呼ばれるみみず腫れの症状がありました。

また毛虫に刺されると以前よりも赤みがひどく出てくるようになりました、と言われます。

更には両側の鎖骨付近や肋骨辺りが痛むので乾癬から来ているのではないか、と訴えられます。

確かに乾癬の皮疹でも最初は淡い紅斑が出現し、次第に特徴のある皮疹に変わっていくことがありますが、じんましんとは異なります。またじんましんを誘発し易くなることはほとんど経験がありません。じんましん自体は一生のうち半数近くの人が経験すると言われていますから、乾癬と関連付けることは無意味でしょう。

また虫刺されの反応が強くなることも考え難いでしょう。強いて言えば虫刺されの後引っ掻く等で、ケブネル現象により乾癬の皮膚症状がその部分に出現する可能性は否定できませんが。

関節の痛みは乾癬性関節炎でもちろん生じることはありますが、患者さんの言われる部位は明らかに掌蹠膿疱症の時に発症する部位であり、いろいろな情報を調べることで乾癬と掌蹠膿疱症とを混同している可能性もあり、今後知り合いの整形外科で精査することになりました。

乾癬の病歴が長くなるといろいろなエピソードを乾癬に結び付けがちですが、患者さんご自身でも整理して主治医にご相談されることが望ましいでしょう。

関西乾癬
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