院長のワンポイントアドバイス

乾癬ワンポイントアドバイス㉒

前回頭部乾癬についてシャンプー基剤の新薬が出たと説明しましたが、2018年6月より更に頭部乾癬に使用しやすいゲル製剤の新薬が使用可能になりました。「ドボベットゲル」です。ドボベット軟膏は既に発売されており、広く乾癬患者さんに処方されています。軟膏とゲル製剤は有効成分が同じですが、軟膏と違いゲルなので伸びが良く頭部に対して大変使用感が良いです。油性ゲルと言われる基剤で、手に取った時には多少粘りがある様に感じますが、広げていくに従ってべたつき感が無くなりサラサラした手触りになってきます。医薬品としてはこのような基剤は初めてとのことで、塗り心地は今までにない感覚です。発売前のデータでは、頭部に関しては軟膏と同程度の効果があり、95%以上の患者さんでハッキリとした改善度が認められました。ただ頭部以外の部位では、いささか軟膏の方が効果に優れていたようです。しかしこれは、臨床治験という厳密に管理された元での使用データであるため、日常での使用場面を考えると使用感のいいゲルを患者さんが多用することも想像できるため、実際の効果は遜色ないと思います。

今回のゲル製剤は、前回のシャンプー基剤とは異なり、頭部に限定されず、広く全身に使用可能です。ただどの薬もそうですが、処方量には制限があります。1週間でドボベット軟膏・ドボベットゲル合わせて90g と言われています。ゲル製剤がいくら塗りやすいと言っても限度があるわけです。塗る量の適量は手のひらに1円玉大の薬剤を出して、手のひら2枚分の面積に塗るのが目安です。頭部全体の面積は、手のひら4~5枚分と言われています。15gと30gの2種類のボトルが出ていますが、1円玉大で0.5gなので1日1回外用という事を考えると頭部全体をカバーするには1日約1g。15gのボトルが1本あれば頭部全体を2週間(14日間)は加療することが可能と考えます。

難治部位の頭部だけでなく手や足の爪部など、べたつきの気になる部分にも良いかと思いますが、顔面についてはドボベット軟膏と同様にドボベットゲルも使用できませんのでご注意ください。

関西乾癬
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