乾癬ワンポイントアドバイスの冊子化の間に、新しい薬剤が使用可能になってきたので、紹介したいと思います。
頭部乾癬については、4人の患者さんで3人が頭部に皮疹を有すると言われるほど、出現部位としては高頻度に見られる部位であり、またあるデータでは、半数以上の患者さんが現在の頭部乾癬の治療に満足していないと言われるほど治療効果の得られにくい部位でもあります。さらに生え際に皮疹があると人目に付きやすく、鱗屑が酷いと襟足や肩口の衣服に付着して患者さんが絶えず気になる状況になり、日常生活においてのQOLへ大きく影響を及ぼします。
最近頭部乾癬の外用剤としてシャンプー基剤の新薬が使用可能となりました。外用合成副腎皮質ホルモン(クロベタゾールプロピオン酸エステル)を含んだシャンプーで、商品名がComfortable(快適な)+Clobetasol(クロベタゾール)+シャンプーを略して「コムクロシャンプー」と言います。使用法が独特でShort contact therapyと言って、「1日1回、乾燥した頭部に患部を中心に適量を塗布し、約15分後に水又は湯で泡立て、洗い流す。」ように指導します。含んでいる成分が強いので、副作用のリスクを減らすために考えられた方法です。使用量は頭部全体で500円玉3枚分(1枚分が2.5mlで7.5ml)です。皮疹面積に合わせて使用量を調整します。1本に125ml入っており、頭部全体に使用しても2週間は持ちます。現在の薬剤費は、3割負担の人で1本約1000円であり、そんなに高価ではありません。
洗い流すときには、泡立ちが良くシャンプーとしても使えるので、改めて他のシャンプーを使う必要はありません。しかし気になる方は、薬剤使用後にご自分のシャンプーやリンスをお使い頂いても結構です。
何人かの患者さんに使用して頂きましたが、頭皮に外用しやすい、頭髪の短い人の方がより効果が得られていたように感じます。これまでも私のクリニックでは頭部の難治な皮疹には紫外線照射(エキシマ照射)を行っていますが、頭皮に光線が当たりやすいように、なるべく頭髪を短く切っていただくように指導しています。シャンプー基剤とはいえ外用剤なので、頭部乾癬に対して治療効果を高めるには、女性には酷ですが、思い切ったヘアーカットも必要かもしれません。