院長のワンポイントアドバイス

乾癬ワンポイントアドバイス⑲

2012年からこの連載が始まり、前回まではクリニックにおいての乾癬患者さんへの対応や、気になる点、さらに治療方法について述べてきました。

中でも治療方法については、外用療法においてこれまでのステロイド剤・ビタミンD外用剤に加えて連載中に配合外用剤が登場しました。また、紫外線治療についても述べましたが、ナローバンドUVBの照射装置が次々と国内で開発され、海外製品の導入も進んでいます。内服薬についても新しいタイプの薬剤が承認されつつあります。ただそれぞれの治療方法は進んでも、それらを上手く組み合わせて患者さんの症状にあった治療方針・計画を

立てるのは医者であり、それを実施するには患者さんの理解と同意が必要になってきます。治療法の進歩に合わせて医者が勉強するのは当然ですが、患者さんサイドにおいても昔のように医者任せで、「すべてお任せします。」では通用しなくなっています。効果のある薬剤や治療方法が登場すれば、それに伴うリスクも高まる可能性があり、同意書へのサインなど患者さんへの自己責任も求められるわけです。そのための準備として信頼性の高い情報源からの知識が必要です。ネット社会では情報に満ちていますが、その情報はまさに玉石混淆・真偽不明です。乾癬患者の会の勉強会、機関誌の発行は信頼性の高い情報発信源として貴重だと思います。私にしても、このような発言の場を頂いたので、今しばらくはこの連載を続けさせて頂き、今後はこれまで各論的に述べてきた部分をまとめて可能な限り実情に近づけた文章で、色々な方のケースを述べようかと思います。

なお最近普及してきた治療法である生物学的製剤は、「バイオ」と略して言うこともありますが、2017年1月現在で6種類の注射剤が使われています。ただその導入に関しては、ある程度の規模の病院に限られており、その維持治療に関しても現時点では診療所レベルではハードルが高いのが現状です。私のクリニックにおいても現在のところは行っていないので、その説明については他医にお譲りしたいと思います。では、今回はこの辺で。