院長のワンポイントアドバイス

乾癬ワンポイントアドバイス⑤

今回はケブネル現象について一言。

前回の皮疹の分布とも関連しているのですが、乾癬には外部からの様々な物理的な刺激に対して皮疹が出現、または拡大する現象があり、これをケブネル現象といいます。

日常生活では皮膚は絶えず外部からの物理的な刺激にさらされています。そのような刺激から体を守ることも皮膚の重要な役割の一つなのですが、乾癬の患者さんの場合は病状の悪化の大きな要因となってしまうのが厄介な所です。仕事上ヘルメットを被ることの多い方は額や頭部、顎ひもを締め付ける部分に、また手袋をして重い物を持つ方は手首や指に、症状が現れることがあります。ご家庭でも入浴時にナイロンタオルなどで擦られますと広範囲に皮疹が拡大してしまったり、女性ではエステ後に悪化することなどもあります。またケガや手術などの皮膚への侵襲でも傷口は治ったが乾癬が出てきた、という場合もあります。

このような直接的な外部からの刺激だけでなく、例えば日焼けをしすぎると乾癬の皮疹が悪化することがあります。これを光ケブネル現象といい、似たようなケースは光線治療中にも起こり得るのです。そのためクリニックでの光線治療中は、毎回前回の光線治療後に赤みの出た部位、ヒリヒリした部位は無かったかを問診や視診で確認しつつ、必要に応じて照射時間を延長したり短縮したりして調整しています。また光線治療中はレジャーや日常においても紫外線を長時間浴びることを控えて頂き、遮光や日焼け止めクリームのご使用をアドバイスしています。

これらのケブネル現象は患者さんの身近で絶えず起こり得ることなので、乾癬を悪化させないためにも、治療効果を速やかに出すためにも注意してください。