前回ビタミンD3外用剤とステロイド外用剤について述べましたが、これらの併用方法についてはかなり奥深いものがあり、いくら述べてもキリがないくらいです。大まかには 1.混合して使用する、 2.重ね塗りをする、 3.それぞれ単独で用い使用回数で調節する、といった方法があります。私の意見として、ビタミンD3外用剤は濃度の低下が乾癬に対する効果に致命的な影響をもたらすと考えている為、1.や2.のような塗り方はなるべく避けており、3.の時間をずらして単独使用でコントロールしています。つまりビタミンD3外用剤とステロイド外用剤をそれぞれ1日1回朝夕に単独で外用して頂くわけです。私のクリニックでは、ビタミンD3は自然の紫外線で合成される一方、分解もされ易いので夜に外用して頂くようにしています。その結果ステロイド外用剤は朝ということになります。毎日朝夕外用して頂いて、ある程度軽快してくれば、平日はビタミンD3外用剤のみで様子を見て、週末土曜日曜のみステロイド外用剤を使用して頂きます。さらに軽快すればステロイド外用剤を中止し、ビタミンD3外用剤単独使用に移行していきます。
また最初の段階で、皮疹面積がかなり広範囲で重症の場合は、ステロイド外用剤を単独で使用開始する場合もあります。ステロイド外用剤の場合はビタミンD3外用剤とは異なりワセリンやアズノール軟膏(私の好みですが)と混合して用いても薬効はある程度維持されるので、外用面積に合わせて多量に処方することも可能になってきます。そして皮疹面積をある程度縮小させた後にビタミンD3外用剤の使用を開始するのです。その理由の一つに、ビタミンD3外用剤については、およそ1日1本以内という使用限度が決められているので、広範囲の皮疹面積には対応出来ないことがある為です。
どの強さのランクのステロイド外用剤を用いるか、また前回のこの欄で述べたように3種類あるどのビタミンD3外用剤を用いるか、難しいところでもあり医者の臨床能力の問われるところでもあります。